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タイトルはシンプルに。(思い浮かばなかったとも言う)
どちらかと言えばSSです。なんかシャドさん気弱な感じになっとります。
それでもいいよ!な方は続きよりどうぞ。
空気を洗い流す雨が降る度に気温が下がる
小さな機体はほわりと温かい
「寒くはないか?」
「うん」
こくりと頷く子供は線が細くて脆い儚さを醸し出すが柔な人とは違って頑丈だ。
「これが雨?」
「そう、そしてその雨を降らせているのが雨雲だ」
日中だというのに寒さを孕んだ薄暗い雲は地表に潤いを叩き落とす。多少の雨なら問題はなくとも不具合を来してはならない、それに足止めをされても急がなければならない訳でもなく雨宿りをする。
泣いている雨空を、丸い瞳が覗き込む。手を差し出して雨に触れた。
「冷たい」
雨粒を弾き返す人口皮膚にぽつりと落ちた雫は肌の輪郭をなぞって地に落ちる。
そっとその腕を掴んで拭ってやると、瞳がゆっくり瞬いた。
遠くでゴロゴロと不協和音が鳴ったのを聞き取ると、少年が首を傾げる。
「今のは?」
「今のは雷の雷鳴というやつだ、高圧の電流で拙者たちの様に対電気ではないロボットも当たれば不具合か故障をしてしまうぞ」
「故障?」
全てが真新しく全てが新鮮な少年。オウム返しで問うたりと、覚える事に必死だ。
「故障とは、機体や無機物に影響を与える。動かなくなったり動いても誤作動を起こしたり…最悪、二度と起動しなくなる」
自分の言葉なのにこの子供が一度朽ちかけていたあの姿がメモリの底から湧き出した。
腕も足も欠けてカメラアイの無いがらんどうの眼窩割れた音声歪な機体打ち付けられた鉄の
「シャドー?どうしたの?」
気付けば小さい身体がぎしりと軋む程きつく抱き締めていた。この少年と“再会”した時の姿と今の姿は違えど同じだったのだと。無機物に還る寸前のあれは、無いはずの心臓を抉られる思いだった。
今はこんなに温かだというのに。
若干不規則になった呼吸を整え細い身体を拘束する腕の力を調節して緩める。腕の中の少年は不思議そうに首を傾げるだけだ。
雷鳴がゆっくりと近付いてくる。
雷がもたらす電圧により不調をもたらしたのだと無理矢理そう言い聞かせてひやりと一層冷気を増してきたのを感じ取り、どうしようもなく虚しい錯覚に腕の拘束は暫く解けそうにない。
2010/11/13 影複製(シャドコピ) Trackback()
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