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タイトル思い浮かばなかったヨー…
気持ち、壊岩よりも
無自覚な壊→→→岩
な構図の方がしっくりくるかも。
では下記よりどうぞ。
慣れないハンドアームパーツで細い腕を自分の顔の前まで上げる
それは何処か恭しいものだが掴む加減がまだ出来ないので手の甲に乗せているだけだ
首をことり、と傾げて様子を見守る子供は自分よりも早く生み出された存在には見えない
ぱかりと口を開けて徐にその頼りない腕を噛んだ
噛む力は調節が可能で、一口に噛んだと言っても人工皮膚に歯が軽く食い込む程度
大きい瞳が零れ落ちてしまう位に見開かれ、植毛されている睫毛が数回上下した
「どうしたの」
驚きつつも腕を力任せに引き離そうとはせず、腕をもごもご噛む橙の機体を不思議そうに見ているまあるい青い瞳
皮膚が歯を押し返す弾力が癖になる
名残惜しいものの一旦口を離す
べろり、と肉厚に作られてる舌で腕を舐めてみる
味は無い筈なのに酷く甘い気がした
「食べたくなったから、味見してみた」
噛みごたえも良かった、と付け足すと眉を八の字にして笑う
「ボクはロボットだから食べられないよ」
それは、知ってる
だけど自分の視界に写り込む青空のこの少年をばりばりと噛んで欠片一つも残さず飲み込んでしまいたくなったのだ
「でも絶対、ロックは美味しいと思うんだ。他の奴らもきっとそう思ってる」
それは駄目だ、この子を独り占めしていいのはオレだけなのに!
だから食べて食べて食べ尽くしてしまえば、独り占め出来るし他の奴らに盗られる心配もない
あれ、凄い名案!
ならば早速取り掛からないと、と口を開けて、開けて、
その腕にかぶりつこうとしてぴたりと止まる
このこをたべちゃったら、もう、このこにあえない?
このこによばれるなまえは、なによりもここちよくて、やさしくて、それでそれでそれで
「クラッシュ?」
機体にじんわりと染み渡る声は録音して再生しても、その声の持ち主が居ないと意味が無い
「……やっぱ、食べない」
「そう?良かった」
ほんわりと笑う顔、甘やかな声、小さくてまろい体
他の誰にも見せたくない触らせたくない渡したくない独り占めしたいオレだけのものにしたい
オレだけのものにしたい?
「ロックがオレだけのものになればいいのに」
知らずに人口声帯の紡いだ言葉はするりと口から逃げて少年の前に露わになる
「え?」
戸惑いを滲ませた声はブツブツと独り言を喋り一人の世界に入り始めた橙色には届かなかった
困惑して、青の瞳を瞬かせ眉を八の字にして仄かに色付くまろい頬を両手で包んでいる少年には気付きそうにない
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