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きみをあいするほうほう
の続きです。
注意※今回ろっくが剥かれますが、破廉恥な話ではないです。
では続きよりどうぞ。
「出来れば、なんだけど僕だけじゃなくて周りもビックリするからもうちょっと手段を変えてもらえるかな…?」
風の正体は言わずもがなクイックマンで、また抱えられて連れられた場所はスクラップ置き場、ただ少し前回と違うのは人目を気にしてか置かれて暫く時間が経っている大きな機械の、がらんどうの空間が広がる中だった。
ささやかなる願いは聞いて貰えるだろうか、抱えた自分を地に降ろしてくれたクイックマンに届いている事を切に願う。
しかし一体何の用なのだろうか、首を傾げるロックの疑問は直ぐに解決した。
特徴的なヘルメットを徐に掴んだかと思えばそれを外したのだ。そこには剥き出しの回路ではなく、ロックと同じく人の頭に似せた、平たく言ってしまうなら髪があった。
ロックが驚きに目を丸くして口をぱくぱくと開閉する。そこでやっと合点した、この間のあれは、この為だったのだと。
「新しくヘッドパーツを作ってもらったの?」
頷いて、ヘルメットで少し癖の付いた髪を軽く掻き上げる仕草が様になる。
「こういうのを博士が作った事がないから悩んで予想以上に時間が掛かった」
「ああ、それで…」
今大人しい訳だ。戦闘用なら驚く位完成度が高くて強いのに、言われてみれば自分と同じ人装のロボットを見た事が無かった。しかも流行りのオシャレだ何だとなればからきしの博士にしてみれば面倒だっただろうと推測出来る。
「でも良かったね、見せに来てくれたって事は気に入ってるんでしょ?」
表情は元から乏しい彼の顔に変化は見られないが小さく頷いたのを見て不服ではないのは感じ取れた。
そして彼はまた唐突で突飛な行動を取る。
手に持っていたヘルメットを地面に置くと徐にロックの服の裾を掴んで引き上げた。
「へ?ぅわぷっ、わ、わあっ!?」
急な出来事と行動に意味が分からず、咄嗟の行動が取れない侭呆気なく脱がされてしまう。
「なっ、ちょ、ちょっと待っ…」
脇に手を差し入れられると体格差もあり身動きが取れず、またこの前と同じく唐突な観察が始まった。
肩のラインから継ぎ目、首、腕、手首。
前後ろとひっくり返されロックの意思も尊重もへったくれも無い状況では余り良い気はしないが、これも彼の為になるならば良いかと半分諦め半分悟りの境地に近い。
クイックが黙々と確認作業をしてデータを残す間、何故か話掛けるのを戸惑われてしまうのは彼が真剣だからに違いない。普段から誰かと喋るよりも単独行動派だから尚更なのだろうか。
ふと気が付けばロックの前にしゃがみ込んで視線が僅かにだが低くなった位置から見上げられていた。
彼の指が、ズボンの縁に掛かっている。と、言う事は。
「…こっちも確認するの?」
強引に脱がせる事をしない辺り、考慮したに違いは無いだろうがまあもういいや、一肌脱いであげようと了承する。
「為になるかは分からないけど、いいよ」
他人に脱がされるというのはここの所全く経験していないだけに何だか変な感覚だ、とぼんやりと思考を逃避させる。
今まで布地が守っていた身体はほぼ無防備に外気に晒された。
人口皮膚の肌色が、彼の目にはどう映っているのだろう?人に似せた構造に彼はどう思っているのだろう?
脹ら脛から足先を包んでいた靴下も、歩くために守っていた靴も脱がされて頭の天辺から爪先まで、一糸も纏わない身体の外観データを取られる。
手の指先も足の指先もだ。
もう良いかな、と見計らって脱がされた服に手を伸ばしたロックの胸に大きな手の平が触れた。
動力炉の収まるそこは、他のパーツよりも仄かに温かい。無意識なのだろうか、彼はそこに聴覚部を押し付けて、動力炉の立てる微かな音を聞き始めた。
突然の行動にロックは目を丸くするのも無理はない。
しっかりと音を聞き取る為か、クイックの腕や手はロックを支え抱き締めているのだから。
人の心臓のように、一定の力強い音はしないそこでも、ロックという機体を動かす為の音と熱がある。ロックの命の音。それをクイックが静かに聞き入る仕草に、ロックは何故だか胸が熱くなる錯覚を感じた。
一瞬戸惑ってから、彼の頭をそっと、優しく抱き込んだ。
2010/11/07 速岩(クイロク) Trackback()
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