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シャドーとみったんはおうち(実家)にメンテナンスに帰ってきた、という補足説明をしておきますん。あれ、二人ともこんなに心が脆かったっけ、と自分で疑問に思いつつお互いに依存し合ってるのは結構美味しいねと頭が沸いてます。
仕方ないよ二人共大好きだからさ!
そんな訳で続きからどうぞ。 カメラアイを覆っていた人で言う瞼を持ち上げると、視覚情報として捉えたのは見覚えが無い天井だった。
アイレンズをくるくると可動範囲内で回して見渡す。
見知らぬ壁。
見知らぬ器具や装置。
嗅覚情報にも覚えが無い。
四肢パーツは動けと命じる電気信号がまだらにしか通じない。
指先が微かに動いた。よし、この調子。
ふと気配を感じてそちら側にカメラアイを向ける。
見知らぬロボットの後ろ姿が写り込んだ。
瞬間、こうなる前の記憶データを探しても接続が上手くいかなくて浮上してこない。
動力炉が爆発的な起動をした。
上体を勢い良く起こして体に繋がれていた数本のコードを力ずくで引き千切り、寝かしつけられていた台から飛び退いて先程情報として得たこの空間の出入り口へと走り出す。
けたたましく鳴り響くエラーアラートに背中を向けていたロボットが何事かと振り返れば、子供タイプのロボットが引き千切れたコードと機体に被せられた白いシーツを翻して部屋の中を扉目掛けて疾走していた。
半場体当たりの格好で部屋を転がり出ると左右に分かれた廊下を確信も無く右に飛んで曲がる。
今まで居た場所に赤いロボットの手が伸びてきてもそこに少年の機体は無い。
後を追尾して追い掛ける。
フットパーツから立地から何から赤の機体が有利な筈なのに、少年はするすると流れてゆく水の如くかわしてゆく。
一度も後ろも見ずに。
少年の機体の緊急システムが作動していた為であるが、システムよりも何よりも突き動かすものがあった。
何時もずっと着かず離れず居た大人型の機体が、見渡したあの空間に居なかったのだ。
細く小さい機体を包んでいたシーツが捕まるとほぼ反射的にそれを放り投げる様に手放して後ろの視界を遮る。
と、同時
「光!!」
知っている音声を聴覚部で拾うとぴたりと動きを止めて、後ろを振り返ると泣いてしまいそうに顔をくしゃくしゃに歪めた。
ああ、嗚呼、居たんだね。
音を発する前に見知った、最早自分の一部である大人型の機体の腕に飛び込むと力強く抱き締め返された。
「しゃどー…!!」
此処は何処なの、あれは誰なの、ボクはどうなっていたの、どこにいたの?
矢継ぎ早に問いただすと機体の負荷が予想以上に掛かっていたのか体の主軸パーツがぎしりと悲鳴を上げた。そして、コンピューターと繋がっていたのを無理矢理放した影響で強制シャットアウト。動力炉の機動力が落ち、少年の体がずしりと重たくなった。
シャドーと少年を追い掛けていた赤い機体の主、メタルが顔を見合わせると少年が逃げ出した研究室へと運び込む。
「起動してからの反射能力が高い、この子は何処の研究所で作られた機体なのか本当に知らないのか」
「ああ、拙者は拾っただけだ」
メタルの問い掛けにしらっと答える。言える筈も素直に答える積もりも無いからだ。仮に正直に喋ってこの子供と引き離されたらそれこそ自身を抑えられそうにない、シャドーは隠し通す意志を曲げる気はこれっぽっちも持っていない。再会の時の記憶と光に関する諸々のデータは奥底のブラック・ボックスに幾重も鍵を掛けて仕舞い込んだ。
再度コードを繋ぎ光の再起動を掛けると目覚めた途端シャドーを見て必死にしがみついて、その姿にたまらず愛おしさが込み上げた。少なくともこの子供は自分を必要としてどんな形であれ依存しているのだという確証を得れた事に。
「置いてかないで、独りにしないで、捨てないで」
ポロリと瞳から転げた洗浄液と小さな唇から漏れた言葉に、この子を守り抜き、ずっと傍に在り続けようと居るのかどうかさえ分からぬ神に誓った。
2011/07/24 影複製(シャドコピ) Trackback()
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